『ふるさとにかえりたい』は、ビキニふくしまプロジェクトのスライドトークを絵本にしよう、という「子どもの未来社」の企画から生まれました。
スライドトークはおもに大人を対象としてスタートしましたが、絵本化によって、核の被害を子どもに伝える役割を担うことになりました。写真絵本はビキニふくしまプロジェクトの大切な成果のひとつです。
ビキニデー60年の2014年に出版されましたが、できたてほやほやをマーシャルに持っていったところ、喜んでくださったものの、ロンゲラップの人がだれも読めない。「なぜ英訳版にしないのか?」と言われたのです。
確かに英語で書いてあれば、読める人の数が格段に増えます。世界各国がマーシャルや日本のように学校で英語教育をしています。
もともと子ども向けの本ですから、基礎的な英語力で読める易しい訳をめざせば、日本以外の多くの子どもが読める本になります。なんとか英訳を実現化したいと協力者を探し、児玉克哉さん(注)にボランティアで英訳を引き受けていただくことになりました。
さらにネイティブチェックなど数人の協力者によって正確で易しい英語表現の練り直しの作業がくり返され、このたび英訳が完成しました。
2016年2月、初訳を絵本に貼り付けた見本版を10冊作成。武本匡弘さんがマーシャルに持って行き、リミヨさんがていねいに校正してくださいました。
過去の取材記事を遡って書いたリミヨさんの半生の記述に2箇所、間違いがありました。マジュロではなくパラオの高校に行ったこと、子どもを授かったのは10人ではなく9人だったこと。
リミヨさんにていねいに読んでいただき、直すべき箇所を指摘していただいたことで、内容がより確かなものになりました。
また、リミヨさんからビキニふくしまプロジェクトの活動に対して「あなたたちはほんとうによくやってくださいました」という言葉をいただきました。